ドラッガーと会計の話をしよう

概要

ドラッカーと会計の話をしよう
  
コミック版 ドラッカーと会計の話をしよう

会計用語である「利益」と経営者が感じる「儲け」は違う。
儲ける為にドラッガーを引用して何が必要か?を考えるお話。
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」は、ドラッガーを高校野球に応用した話でそれが斬新で面白いところですが、この本はドラッガーが最初から商売向けに書いた本を要約してストーリー仕立てにしてあり、ひねりは無いですがリアルです。

事業年度という暴君

利益=売上-費用
という方程式では「設け」を表現できない。
これは「会社にお金が残らない本当の理由」での主張と一致する。
理由は減価償却、売掛金、買掛金、在庫量の発生時期、額を簡単に操作できてしまう為。
事業年度で区切った決算は他人に過剰に良く見せる為に、経営の一部分だけを都合良く切り取る作業に過ぎない。
そもそも過去の経営を数値化した所で将来に渡って事業を継続できるかどうか?にはあまり関係が無い。
(過去の経営がどう切り取ってもボロボロなら将来もボロボロだが)

10%の商品が90%の儲けを作り出している

この本では「レストラン」の経営者が主人公で、
米良太事務所のビジネスモデルとは一致しない部分も多いが参考にはなる。
レストランでは、メニューを多く揃えると、
・在庫が多く必要になる(コスト↑)
・売れ残りが多くなる(コスト↑)
・保管場所が広く必要になる(コスト↑)
・調理器具が多く必要になる(コスト↑)
・調理技術が多く必要になる(コスト↑)
・調理時間が多く必要になる(コスト↑)
・その結果、回転率が落ち、客数が減る(儲け↓)
結果、経営者はメニューを減らす。
・在庫が多く必要なくなる(コスト↓)
・売れ残りが少なくなる(コスト↓)
・保管場所が広く必要なくなる(コスト↓)
・調理器具が多く必要なくなる(コスト↓)
・調理技術が多く必要なくなる(コスト↓)
 ⇒シェフを1人減らす(コスト↓)
・調理時間が多く必要なくなる(コスト↓)
・その結果、回転率が上がり、客数が増える(儲け↑)

商品のライフサイクル

商品には寿命がある。
・過去の主力商品
・現在の主力商品
・未来の主力商品
・失敗商品(人気無し、利益無し等)
現在の売上から上位いくつかだけを絞って他は廃止する様な単純な話ではない。
・現在の「儲け」を作り出している商品はどれか?
・過去の主力商品になってきていないか?(人気が落ちてきていないか?コストは上がっていないか?)
・未来の主力商品はどれか?(人気が上がってきている商品はどれか?)
・失敗商品はどれか?(コストが高い、人気が無い商品はどれか?)
を注意深く、客観的に見なければならない。
そして未来の主力商品候補を常に作り続けなければならない。
現在の主力商品は必ず過去の主力商品になるのだから。

コスト

コスト=原価
ではない。
売価=原価×3という様な単純な計算式(おいしい関係:プチ・ラパン)では儲からない。
コストは仕入れに掛かる労力、商品原価、事務所の賃料・清掃・維持費、水道光熱費、材料の保管料、人件費、間接部門の労力・消耗品費・人件費、広告宣伝費、配送料、金融機関への利息…多くに掛かっている。
損益計算書ではコストと売上は分かるが、どのコストがどれだけ儲けに貢献しているか?は分からない。
全てのプロセスで必要なコストを全てを計算した結果、儲かる価格を売価としなければ会社は維持できない。
全てのコストを最終的に負担するのは顧客である。
顧客が払う金額を変えられないなら、必要なサービスを削るしか無い。
価値の無いサービス=無駄なコストを削減できれば儲けは増える。
価値のある(儲けに繋がる)コストか? 価値の無い(無駄な)コストか? は顧客の目線で無ければ判断できない。
顧客がその金額を払えば有効なコストであり、そうでなければそのコスト(サービス)は独り善がりに過ぎない。